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佐賀地方裁判所 平成3年(わ)276号 判決

被告人

氏名

浦田勤

年齢

昭和一八年八月一九日生

本籍

佐賀県唐津市唐川二二八番地の三

住居

右同所一七二番地の三

職業

会社役員

検察官

竹田勝紀

弁護人

宮原貞喜

主文

被告人を懲役一〇月及び罰金一五〇〇万円に処する。

罰金を完納することができないときは、金五万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

この裁判の確定した日から三年間懲役刑の執行を猶予する。

訴訟費用は被告人の負担とする。

理由

(犯罪事実)

被告人は、佐賀県唐津市唐川一七二番地の三に居住し、同市唐川一一二一番地の三六において、「浦田勤石材」の名称で石材業を営んでいるものであるが、自己の所得税を免れようと企て、売上の一部を除外し、仮名・借名の簿外預金を蓄積するなどの方法により所得を隠匿した上

第一  昭和六三年分の実際総所得金額が四七一八万九八三八円で、これに対する所得税額が一八八二万七四〇〇円であったにもかかわらず、平成元年三月一五日、唐津市千代田町二一〇九番地の四六所在の所轄唐津税務署において、同税務署長に対し、昭和六三年分の総所得金額が六〇四万四七四三円で、これに対する所得税額が六三万五二〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、昭和六三年分の正規の所得税額と申告額との差額一八一九万二二〇〇円を免れた。

第二  平成元年分の実際総所得金額が六七九三万五一四八円で、これに対する所得税額が二九四九万四五〇〇円であったにもかかわらず、平成二年三月一五日、前記唐津税務署において、同税務署長に対し、平成元年分の総所得金額が九九八万九四九七円で、これに対する所得税額が一七五万二九〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、平成元年分の正規の所得税額と申告税額との差額二七七四万一六〇〇円を免れた。

(証拠)

1  被告人の

(1)  公判供述

(2)  検察官調書(検二三八号)

(3)  各質問てん末書(検二二三号乃至二三七号)

2  報告書(検八号)

3  各査察官調査書(検四二号乃至九二号・検一三七号乃至一三九号・検一四二号・検一四六号乃至一四八号・検一五〇号・検一五一号・検一五三号・検一五五号・検一五七号・検一五九号・検一六一号・検一六二号・検一六四号・検一六六号乃至一六八号・検一七〇号・検一七二号乃至一七六号・検一七九号乃至一八一号・検一八三号乃至一八六号・検一九四号・検一九八号乃至二〇〇号)

4  浦田ミツ子の検察官調書(検二一八号)・各質問てん末書(検二一〇号乃至二一七号)

5  押収してある63年分の所得税確定申告書一枚(平成三年押第六八号の1)・元年分の所得税確定申告書一枚(同号の2)・請求書一三冊(同号の5乃至17)・領収証八冊(同号の18乃至25)・売上帳二綴(同号の26・27)・請求書八冊(同号の28乃至35)・領収証八冊(同号の36乃至43)・預金メモ二綴及び一枚(同号の44乃至46)

(法令の適用)

罰条 第一及び第二につき各所得税法二三八条

刑種の選択 懲役刑と罰金刑を併科

併合罪 刑法四五条前段

懲役刑については刑法四七条本文、一〇条により犯情の重い判示第二の罪の刑に法定の加重をした刑の範囲内で処断

罰金刑については刑法四八条二項により判示第一と第二の各罪の所定の罰金額を合算するが、所得税法二三八条二項により、判示第一と第二のそれぞれ免れた所得税額の合算額に相当する金額以下の範囲内で処断

労役場留置 刑法一八条

執行猶予 懲役刑につき、刑法二五条一項

訴訟費用の負担 刑事訴訟法一八一条一項本文

(裁判官 陶山博生)

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